👆この記事のつづきです。
ところで、わたしは子どもの頃からのアトピー体質で、ストレスや時期によって悪化したり、または症状の出る部位が変わったりする。
当時、身体を動かしたり、お風呂に入ったりして身体があたたまると、胸の真ん中を掻きむしりたい衝動が出ることが、しばしばあった。
衝動は、もう発作というほどに強いもので、胸の真ん中の奥のほうで、何かが渦巻いているような、むずむずする感覚が襲うのだが、搔きむしってしまえば肌が傷ついて、あとでヒリヒリと痛い思いをすることになるのだった。
それは身体の感覚ではあるけれど、コースは「肉体は感じることができない」(T-19.Ⅳ.5)、と言っているのだから、これがなんであるにせよ、これを感じているのは、わたしの心なんだ、とわたしは次第に考えるようになった。
何年も症状を観察していて、掻きむしりたい、という衝動はひとつには、自己憎悪を表しているのだろうなと思っていた。
もうひとつは、わたしの身体は循環が悪く、流れたいものが流れない……という感覚があり、その停滞しているものをむりやり流そうとして、搔いているのだという気がしていた。
でも、「流れないものを“むりやり”流そうと」するとき、わたしは身体を緊張させており、その緊張こそが循環を悪くしているのだとも感じた。
その緊張はきっと「流すまい」とする無意識のわたしの意志なのに、わたしはその抑圧された意志を無視して、「むりやり」コントロールして流そうとしていて、そうしてわたしの心はまっぷたつに割れ、あたかもブレーキとアクセルを同時に踏んで、膠着状態に陥っているかのようだった。
ユルゲンとのやりとりから数か月経った頃、わたしは、kindle unlimited に入っていたガンガジの本を読んでいた。
そのわりとはじめのほうで、「何もしないでいなさい」ということが書かれていた。
パパジはまず「正しい場所に来たね」と言い、それから「何もしないでいなさい。あなたの問題のすべては、あなたが行動し続けることにある。すべての行為をストップしなさい。信じることも、探し求めることも、言い訳することも。すでに、そして常にここにあるものをあなた自身で見つけなさい。動いてはいけない。何かに向かって動くことも、何かから遠ざかることもしてはいけない。この瞬間に、じっとしていなさい」と言いました。
私はそのときじっと座っていたので、いったいパパジが何を言っているのかわかりませんでした。それから、彼は肉体的行為のことを言っているのではない、ということに気づきました。そうではなくて、パパジは私に、すべての精神的な行為を止めるように指示していたのです。
ガンガジ『ポケットの中のダイヤモンド: あなたの真の輝きを発見する』
(株式会社ナチュラルスピリット)
そのとき、わたしは、これを試してみよう、と決めた。
胸から出てこようとしているのに、わたしが自分で押し込めて、その上でむりやり掻き出そうとしているこの感覚は、身体感覚のように見えるけれども、悲しみなのかもしれない、と思ったのだ。
お風呂の後、次にあの発作が起きても、ぜったいにコントロールしない。
肉体が何も感じないのだとしたら、身体感覚のふりをしてカモフラージュされているものが何なのか、わたしは必ず、心へと入っていこう、
と。
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