
つづき。
先日、毎日配信している朝のクラハの瞑想会で「『ウィキッド』を観に行くかどうか、聖霊にゆだねます」と話したところ、聴いていた方のおひとりがムビチケの鑑賞券を送ってくださった。(ありがとうございます)
それで、観てきました。
前述のとおりミュージカルのストーリーを覚えていなかったので、初見も同然で観ていたのだけど、かなりゆっくり進むなあ、これ終わるのかしら、と訝っていたら……終わらなかった!!!
なんと、後編につづいてしまう……。後編は早くても半年後。
まぁそれは楽しみに待つとして、ただ今回はちゃんとストーリーを把握できた。
いま振り返って思うに、ミュージカルの筋書きを覚えていなかったのは、この物語の最大のメッセージを、わたしがちゃんと受けとっていなかったからかな、と思った。
ミュージカルを観たとき、人種差別や政治に対する、さまざまな社会風刺が込められた作品なんだな、という感想をもったのは覚えているけれど、エルファバの心に寄り添えてなかったから、感動が薄かったのだなあ、と。
以下、ネタバレを含むのでこれから観たい方はお気をつけて。
映画は、「善き魔女」グリンダがオズの国民たちに、「皆さん、西の悪い魔女は死にました!」という善き知らせをもたらすところから始まる。
集まった民衆のなかから、「彼女はあなたの友人だったって、本当ですか?」という声が上がり、「本当よ」と答えるグリンダ。
エルファバのことを語り始める。
主人公のエルファバは緑の肌で生まれたために、両親から疎まれ、まわりの子どもたちからはいじめられ、愛や承認に飢えて育った。
天下のシズ大学に入学するも、彼女はその見た目と、孤独な育ちゆえに卑屈になってしまった性格から、やっぱりみんなの嫌われ者。
それでも、類まれな魔法の才能をもっていたため、大学でもっとも尊敬される教授マダム・モリブルに見出され、彼女の寵児となる。
対して、ルームメイトのグリンダは勉強も魔法もできないが、うつくしくチャーミングで要領がよく、大学中の人気者。
最初は水と油で敵対していたふたりだけれど、ある事件をきっかけに親しくなり、グリンダの友情と協力を得たエルファバは頑なさが解け、大学の友人たちにも次第に受け入れられていく。
しかし、オズ国内には次第に不穏な空気が漂い始め、これまで国民として人間と同等の扱いを受けていた言葉を話せる動物たちが、迫害され始めていた…。
そんなある日、マダム・モリブルの推薦を受けたエルファバは、特別な魔法の才能をもつ有望な若者として、オズの国王である魔法使いに謁見を許され、首都エメラルド・シティに招待される。
国内の不穏な情勢をオズの魔法使いに訴え改善してもらおうと、胸に希望を抱いたエルファバは、親友となったグリンダを携えてエメラルド・シティへと向かう。
オズの偉大な魔法使いは、エルファバを手放しで大歓迎した。
君を宮殿に迎え、才能の開花を援助し、自分の娘のようにも扱いたい、ぜひわたしの隣でオズの統治を手伝ってほしいと、まさしくエルファバが夢見ていたことを申し出てくれる。
生まれたときから愛と承認に飢えていた少女が、ついに夢を叶えようとした……
けれどもそのとき彼女が直面したのは、オズという国の、思ってもみない真実だった。
それを受け入れることができないと、反発して宮殿から逃げ出すエルファバを、引きとめるグリンダ。
このクライマックスのやりとりで、「Defying Gravity(重力に逆らって)」が歌い上げられる。
「考え直して、このために努力してきたんじゃない。あなたの夢がすべて叶おうとしてるのに」
そう訴えるグリンダに、エルファバが言う。
「そう、でもわたしのなかで何かが変わった。もう、それがほしいと思えない。
誰かのルールで生きるのは終わり。自分の直感を信じて飛び込むわ。
重力に逆らって飛ぶときがきたの。
誰にもわたしを引きずり下ろすことはできない」
この物語の前半で描かれているのは、この世界で自分に不足していると思ってきたもの、それを得られたら自分はさぞやしあわせになれるだろうと思ってきたもの、恋焦がれ続けてきたもの……他者からの承認と賞賛、愛を、ぜったいに譲れない自分の本心に忠実であるために、自由であるために、捨てる、という能動的、自主的な決断だ。
エルファバは、自分の心の核の部分に妥協せず、誠実であることを選んだ。
けれどもその決断により、彼女の約束されていた未来は閉ざされ、エルファバはオズ王国にとって忌まわしき存在とされてしまう。
そして、他者からの人気と承認が何よりも大切、という正反対の価値観をもつ親友グリンダとは、お互いに愛し合いながらも袂を分かつこととなった……。
彼女がどのようにして「西の悪い魔女」と呼ばれるようになるのか、「オズの魔法使い」の物語の裏話としてどんな物語が展開されていくのか、ミュージカルの結末も覚えていないので、いったいどのように物語が着地するのかは、後編の公開を待ちたい。
でも、この前編からわたしが受け取ったメッセージは、
この世界の重力に逆らって飛びなさい、
あなたのインスピレーションにのみ忠実に生きなさい、
というものだったということを、書き記しておきたい。
こちらのnoteの記事で、すばらしい和訳とともに「Defying Gravity」を聴くことができます。

